「デメリットはありません」
今日も今日とて、なんとか朝食&夫のお弁当作り、洗い物、洗濯物干しを終える頃にはフラフラ。
ベランダでヒラヒラはためく洗濯物の下にしばらく頭を抱えて座り込み、頭を下へ下へとお辞儀させて唸っていました。
頭を下にすると痛みが激減するのです。
だいぶ楽になったところで、空の洗濯カゴを抱えて一目散に階段を降り一階のソファーへ。
頭を抱きこみトドのように横たわり、深呼吸。
今日はもう起き上がれないな…
ということで、見た目ぐうたら主婦が寝たままスマホでこのブログを書いています…
………………
実は、最初に7cmの筋腫が発見された時点で、手術するかしないか迷っていた私に主治医は、
「筋腫だけ取ることも、子宮全摘することも、どちらも可能です。選べます」
と言っていました。
その後わずか3ヶ月ほどで筋腫が増大して10cmを超え、私が手術に踏み切ることを決断したときには、
「このままだと筋腫が大き過ぎるし、形も腹腔鏡手術で出しづらい楕円形。かと言って開腹手術は予後が大変なので勧めない。レルミナ(女性ホルモンを止め、筋腫の縮小を図る薬)を3ヶ月飲んでから腹腔鏡手術しましょう。
それから、次回から担当医が代わりますね。腹腔鏡で頑張ってる〇〇という医師になります。」
と言われました。
なぜ急に担当医が代わるのか、若干不安でしたが、なにしろ県下一の大病院です。医師たちも色んな大学や他の病院から派遣されています。
先生にもご都合があるのだろうな…と自分に言い聞かせ、更に3ヶ月経って受診した9月半ばには、担当医は予告通り別の医師になっていました。
「筋腫は5cmに縮んでいます。問題なく手術できます。手術の希望日程はありますか?」
夫の母の介護が少し大変なことになりそうな秋。義母の都合を優先すると、10月いっぱいは避けたほうがよさそう。
ということで手術日が11月初旬に決まり、「手術の前にご家族にも一緒に来てもらい、説明をしたい」と言われて、10月末の平日、会社を休んでくれた夫と、病院へ向かいました。
これ未だに謎なんですが、同じ病院で、私よりよほど重篤な婦人科の病気で手術を受けた友人は、この「ご家族を伴っての説明」を求められなかったそうなのです。一人で告知され、一人で手術の説明を受けたとのこと。
客観的に見れば、今すぐ命に関わる訳でもない、それこそ手術するもしないも患者本人の希望次第、という子宮筋腫、それも私のような漿膜下筋腫の摘出手術こそ、家族への説明はそれほど必要ないだろうと思うのですが、腹腔鏡手術ゆえでしょうか?
さて、夫と共に待合室で診察を待つ間、我々と同じようなアラフィフのご夫婦が何組も待っていました。
おそらく同じ病気なんだろうなあ。そういうお年頃ってことなのかなとぼんやり思いながら、呼ばれて診察室に入るなり、新しい主治医の第一声
「では、子宮全摘手術の説明をしますね」
夫とフリーズすること数秒。先生の話はどんどん進む。
慌てた夫と私、以心伝心のようにぴったり同時に発言しました。
「「全摘なんですか??」」
新しい主治医はキョトンとした後、
「ええ、全摘ですけど、あれ?聞いてませんでした?」
なんのこっちゃ…
筋腫だけか子宮ごとか選べると言ってたのはなんだったのか………
でも先生の口調では、50歳、経産婦、もうこの先妊娠出産の予定なし、短期間で増大する筋腫、子宮を残しても再発のリスクしかない、卵巣を残せば更年期障害もしばらく避けられる、腰痛の改善ももしかしたらみられるかもしれない、月経過多にも苦しまなくて済む、全摘以外に考えられない、それが医学的常識、という感じでした。
まあそりゃそうなんだけど…でも全摘って、なんとも言えない怖さがある。
10年以上前に甲状腺を全摘した経験のある夫が先生に、
「子宮全摘のメリットは今お聞きしてよく分かりましたが、逆にデメリットは何でしょうか?
僕自身、甲状腺を摘出する時、デメリットよりメリットを取って手術に踏み切りましたが、結局一生薬を飲まなくてはいけないし、薬の副作用とも付き合っています。
あるべき臓器を取り去る、というのは、やはりなんらかのデメリットがあるんじゃないかと感じるんですが」
よく言ってくれた、夫よ!
しかし新しい主治医は、
「デメリットは、ありません」
はっきりキッパリ、言い切りました。
この時は、そうか、本当にデメリットはないんだな。長い間私と共に歩んでくれて、母親にしてくれた子宮とサヨナラすることにちょっとした哀愁を感じてしまうなんて、こんなの医学的知識のないイチ患者の愚かな感情なんだろうな、と納得した、というより納得せざるを得なかった。
いっときのセンチメンタルに左右されず、今後の人生をより良く生きるための全摘だ。
本当にそうなるはずだったのに……